特集 突然のコロナ 今できることを探して(2ページからの続き)
公園で青空読み聞かせ yukaさん
個人だからこそ、できることもある。
3月初めからずっとお家にいた子ども達がうずうずし始めた頃、yukaさんは動きました。3月20日から、緊急事態宣言が出される4月7日まで、西野川の小足立のびのび公園で、毎日14時に、青空読み聞かせを開催。絵本と紙芝居とレジャーシートを用意して、ママ友達からも絵本を集めました。情報は口コミで広まり、連日、数組の親子がお話を楽しみにやってきました。
yukaさんはご自身のお子さん達が通っていた小学校で、長年、保護者読み聞かせボランティアをしていました。物語に引き込む語り口に定評があり、他の保護者にコツを教えてあげていたほど。
子どもに関わる様々な団体が組織的にはアクションを起こせない状況下で、個人で動いたyukaさん。自分にできることを、できる範囲で。ささやかながら、大きな行動でした。
夏までに作ったマスク、5,500枚 シルバー人材センター衣類工房ひまわり
自分たちの得意分野でできることをやる。
日本中でマスクが入手困難になった3月、狛江市シルバー人材センターの衣類工房ひまわりでは、布マスクの製作を始め、4月には約130枚のマスクを高齢者施設などに贈りました。会員が自宅で製作を行い、職員が工房で検品や流通管理をすることで、緊急事態宣言でも量産を行うことができたのです。
その事が、都庁の職員経由でマスコミの耳に入り、4月下旬にNHKで報道されると、市外からも多くの反響や問い合わせがあり、夏までに贈呈、販売したマスクは、約5,500枚。
池田事務局長と工房の会員がこだわったのは、プロの手仕事です。“おばあちゃんの趣味の手作り品”と思うなかれ。えっ?このクオリティの高さで3枚1,000円!? 美しいステッチ、歪みのない仕上がり。表地より裏地の寸法を控えてあるので、裏地が口元でもたつくこともありません。
コロナ以前から、人との繋がりとアイデアを大切に、アクティブに活動してきた皆さんだからこそできた、チームワークです。
私たちが届ける使命感 狛江音訳グループ
仲間で協力して届けた声
新型コロナウイルス感染拡大の中、活動場所となっていたあいとぴあセンターが3月末から臨時休館になり、広報誌を目から情報を得にくい方へ音声にして届けることができない状況になりました。そんな中、今まで通り音訳して提供して欲しいという声に応えて、各自が自宅での音訳作業に取り組むことになりました。
最初の課題は「広報こまえ」5月1日号でした。自宅での音訳作業の経験はあったとはいえ、環境が整った録音室とは違います。ご家族が在宅勤務のため、パソコンを使用する時間に限りがあったり、雑音が入ってしまったり。また、全て自分の判断で作業する中で「これでいいのかな?」という疑問が生まれ、何度もメンバー間でメールや電話でやり取りをして発音等の確認が続きました。そうして各自録音したものを校正担当のメンバーに送付し、そこでも間違いを修正するなどのやり取りがあります。時間はかかりますが、何とか品質を落とすことなく、正確で聞きやすい音声版を、発行日に間に合うように頑張りました。
当面は現状のまま、自宅録音作業を続けることになりますが、普段の練習や経験を活かし、メンバー同士で協力して音声を届けたいという前向きな気持ちが強く伝わってきました。
必要な情報を確実に伝える 手話サークル昼の部
再開を待ち望む声に後押しされて。
手話サークル昼の部は手話学習を通し手話の啓発活動やボランティア活動につなげ、保育園や小学校で出前講座の活動を行っています。
突然、自粛となったサークル活動。3~8月の長くなった自粛期間中は会うことができなかった聞こえない仲間を気にかけファックスやメールで連絡を取り合っていました。
正しい答えや情報が得られない状況下で活動再開は難しいのではという声。このまま自粛を続ければサークル活動の存続があやぶまれるという意見。そんなジレンマの中で、離れた場所でもコミュニケーションができる手話の強みと可能性を信じ、新しい生活様式とルールのなか「早く活動を始めたい」という積極的な声に後押しされ9月から活動再開を決断しました。
感染対策に有効なマスクも、手話コミュニケーションに重要な口の動きや表情が読み取れず、何を言っているのか分からなくなってしまいます。活動再開に備えてフェースシールド35個を自作することにした佐々木さん。材料はホームセンターで買えるものにして、誰でも簡単に作れるよう作り方も工夫しました。
大切なのは必要な情報を確実に伝えたいという相手を思いやる気持ち。手話サークルの原点もきっとここにあるのではないでしょうか。