野川のえんがわ こまち●石川歩さん ~寄り添い合って生きること~

 空き家を活用し、地域に人々居場所をつくる「野川えんがわ こまち」のスタッフの一人である石川歩さんは、「あむくん」と呼ばれ親しまれています。実はあむくん学生時代から場づくりを中心としたサークル活動を行うなど、多くの活動に積極的に取り組んできました。初めてボランィアに携わったのは中学生の時で、その頃からボランティアを通して人と繋がることの喜びを実感してきたと言います。
 また、あむくんは高校時代に演劇をしていた経験を生かし、こまちでも中高生と一緒に小さい劇団を作っています。この「劇団こまち」は、公演はしていませんが、演劇を気軽に楽しめるすてきな集まりです。こまちには学校にいけない子もふらっと立ち寄れる、そんな雰囲気があります。あむくんは、「劇団こまち」がいずれはそういう子どもたちの豊かな世界観を表現する場になってほしいと、語っていました。
 ちょっとしたきっかけで始めたことの活動は、子どもたちの成長の場にもなっています。
活動を続けることや、みんなで一つことに取り組む難しさを、子どもたちと一緒に改めて実感したと苦笑気味に、けれどもうれしそうに話してくれました。他にもあむくんは「あわいろ」という場(ホームページ)を作っています。この場を、あむくんは『何もしなくてもいい場』だと言います。淡く、はっきりしないけど確かにある思いや感情を分かち合い、ゆっくりと対話する中で、互いに寄り添っていく、こんな空間。「誰かのために何かを」という考え方とは真逆で、それでいて今たくさんの人が心の底から求めていることが、寄り添い合うことなのかもしれません。「答えのない関わりを探し続けることについて、考えることが多くなった」とあむくんは楽しそうに語ります。日々いろんな人と関わり合いながらその場所に自分を溶かしていく―――優しくも頼もしい、あむくんの一面を見ることができました。

問い合わせは野川のえんがわ こまち
☎5761-4102石川
(取材記事:こまえくぼ広報部会 有本)

<野川のえんがわ こまち>
西野川2-31-1民家を利用し令和2年5月にオープン。
代表の梶川朋さん、芙美子さん夫婦の呼びかけで集まった介護福祉士、保育士、教師などで結成した「comarch」が運営している。